実力派生産者がひしめくフォントネ・プレ・シャブリ村にて、遡れる限り1730年にはぶどう栽培の記録が残っているという名門中の名門です。1960年にドメーヌを設立して自社ビン詰めを開始。1970年に7代目クロード・ロワが継承し、現在は息子ダヴィッドと娘カリーヌと共に運営しています。
　シャブリでは珍しいヴィエイユ・ヴィーニュが多いのも名門ならではで、20年前に植え替えを行なった「グラン・クリュ レ・プルーズ」を除くすべての畑は40～60年の古樹畑です。
　「ヴィエイユ・ヴィーニュの真骨頂は、ぶどうが十分な酸を保持したまま完熟することで、毎年、エキスやミネラルがぎっしり詰まった完熟ぶどうを収穫しています。この酸とエキス、ミネラルこそがシャブリのテロワールの結晶であり、これらを最大限にワインに表現するため、樽は使用せず、温度管理機能付きのステンレスタンクのみで醸造を行なっています。各区画の収穫量に合わせて中～小型のタンクを多数基使用することで、区画ごとのテロワールの違いやヴィンテージの個性を、より高い精度でワインに反映させています」。
　看板作品は「シャブリ グラン・クリュ ブーグロ ヴィエイユ・ヴィーニュ」で、ブーグロの総面積14.35ヘクタールのうち、実に4分の1に相当する3.63ヘクタールを所有しています。樹齢は約60年です。
　シャブリの生産者は樽使用派と不使用派に大きく分かれており、どちらにも偉大な生産者がいますが、「ヴィエイユ・ヴィーニュ＋中小型タンクの多数基使用」という妙技を尽くした彼らの作品は、シャブリのひとつの究極形と言えましょう。