「エミーナ・ゼロ」は、今日のスペインを代表するワイナリー、「マタロメラ・グループ」が提供するノンアルコールワインのブランドです。
　1988年、リベラ・デル・ドゥエロに「ボデガ・マタロメラ」を設立したカルロス・モロは、同ワイナリーをスペイン最高峰の一角に育て上げる一方、世界各国からの需要に応える形で業容を拡大し、今日、7つのワイナリー合計で450ヘクタールを所有する一大グループを形成しています。そのワインはスペインやモナコの王室御用達であるばかりでなく、各国の高級スペイン料理店にもことごとくオンリストされ、輸出相手国は80ヵ国に達しています。
　また、「ISO9001」（品質管理規格）、「IFS」（世界最大の食品検査機関「Eurofins」が統括する安全性・品質規格）、「BRC」（英国小売協会が主導する、品質・安全性・衛生管理の国際規格）の各認証を取得するなど厳しい品質管理を徹底する一方、太陽光熱やバイオマスによる自家発電や、資材などの高度なリサイクルシステム、およびサステナブル農法の実践によって「ヨーロッパ環境賞」を受賞したり、国際的な地球温暖化防止プロジェクト「2℃チャレンジ・コミュニケ」に参加するなど、環境問題に対する取り組みにおいても、スペインのリーディング・ワイナリーとなっています。
　カルロス・モロは2004年、「なんらかの事情でワインを飲めない方々にも、ワインのおいしさや楽しさ、素晴らしさを味わっていただきたい」という思いで、グループ随一の最先端技術を誇るワイナリー「エミーナ」が造る各ワインから、アルコール分を除去する方法で造る本格的なノンアルコールワインの製造を決意。4年後の2008年に、アルコール度数0.5%未満の「エミーナ・シン」を、さらに翌2009年には、その10分の1の0.05%未満に挑戦した「エミーナ・ゼロ」をリリースし、スペイン最大の食品飲料見本市「アリメンタリア2010」では、最も革新的な商品に贈られる「イノバル賞」を受賞しました。
　そして2011年7月、アルコール分が0.05%未満のためワインに求められる風味や味わいを出すのがとりわけ難しかった「エミーナ・ゼロ」の品質向上を主目的として、最新技術の粋を集めた「分子再構築プラント」を新設。（大きく言えば、アルコールと共に一旦取り除かれる色素や香り成分、ポリフェノール、ミネラルといったワインの各構成要素を、そっくりそのままワインに戻すシステムです）。この新工場の竣工式（写真下）には、カスティーリャ・イ・レオン州知事やスペイン科学・革新省大臣も出席し、全国ニュースになりました。
　尚、「エミーナ」とは、スペインの昔の度量衡のひとつで、ワイングラス一杯分（約250ml）に相当します。
　「エミーナ・ゼロ」の革新性は、アルコール分を取り除く前の「元のワイン」自体が、（赤ワインは6ヶ月以上樽熟成させるといったプロセスを経て）通常のワインとして商品化され、同グループのベストセラー商品として世界各国で楽しまれているという点にあります。これらの「ワイン」も、いずれご紹介したいと思っています。