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1年間の畑仕事

2008-06-19

Category : 未分類

「ヴィニュロンヌの”四季”」というタイトルですが、1月~4月は畑やぶどう樹の下準備的な作業が中心で(それらも極めて重要なことに変わりありませんが・・・)、栽培のハイライトは開花してぶどうが実を結ぶ6月あたりからですので、このブログも6月の畑仕事からレポートしていきます。

 

今回は、ぶどう畑における1年間の仕事の流れをごく大雑把にまとめておきます。

「 」で括っているのは専門用語です。ワインを楽しむのにコムズカシイ専門用語はまったくもって必要ありませんが、ただ例えば、日本のワイナリーを訪問する際などに、このような用語を知っておくと造り手さんとの会話も弾み、より有意義で楽しい訪問になるかなと思いまして、一応記載しておきます。

 

尚、畑仕事についてより詳しくお知りになりたい方は、「リアルワインガイド ブルゴーニュ」(集英社インターナショナル刊/堀晶代著)のP203「畑仕事の一年 クロード・デュガの仕事を追って」に詳しく、かつコンパクトにまとめられています。

ちなみにこの本は、昨今のブルゴーニュの変化を見事にまとめた前書きにはじまって、著者がもっとも注目する30人の新世代の造り手たちについての入魂の取材レポートを読むことができ、今日の新しいブルゴーニュの姿を理解するのにとても役立ちます。「ルイ・シュニュ」をはじめとして、私たちの取引先の造り手(2008年6月現在)も17人登場します。

 

<1年間の畑仕事>

 

1月~2月

ぶどう樹の休眠期です。

「冬季剪定(とうきせんてい)」作業・・・今シーズンの収穫に向けて、ぶどう樹の仕立・整枝方法を整備し、芽の数を決定します。この年の収量を決める土台となる、重要な作業です。

(冬季剪定作業は)「一本一本個性が違うそれれぞれのブドウ樹の、その後の生き様にまで影響する「超プロの手仕事」である。」(前出「リアルワインガイド ブルゴーニュ」より)

 

3月~4月

畑の掘り起こし・・・春になり暖かくなってきましたので、 「土寄せ(つちよせ)」 (厳冬期にぶどう樹の株を霜の害から守るために、畝(うね)と畝の間の土をぶどう樹の幹の根元に寄せる作業)を解除し、土をもとに戻します。また、土壌に酸素を供給したり、雑草をとる効果もあります。

「ぶどう樹の涙」と「萌芽(ほうが)」「展葉(てんよう)」・・・眠っていたぶどう樹が目を覚まして樹液の循環がはじまり、吸い上げられた樹液が、剪定後の枝先の切り口から滴り落ちてきます。(この雫を「プルール(涙)」といいます。) この後、芽が出て、葉になっていきます。

苗木の植樹・・・前シーズンに、寿命や病気で死んでしまったぶどう樹があった場所に、新しい苗木を植えます。

 

5月~6月

気温が上がるにつれて、枝や葉がどんどん成長してきます。

「芽かき(めかき)」・・・余分な芽を取り除きます。

「除梢(じょしょう)」・・・余分な梢(こずえ、若枝)を取り除きます。

「整枝(せいし)」「誘引(ゆういん)」・・・伸びた枝を整え、ワイヤーに固定していきます。

「摘芯(てきしん)」・・・伸び過ぎた枝先を剪定します。

6月になると開花し、固い実がつきはじめます( 「結実(けつじつ)」 )。

 

7月~8月

「除葉(じょよう)」・・・ぶどうの房の周りの葉を取り除きます。これによって、ぶどうに当たる日光の量を調節したり、風通しをよくして湿度を下げ、腐敗や病気を防ぐことができるようになります。

「摘房(てきぼう)」・・・俗に言う「グリーンハーベスト」です。ぶどうの房を摘みとり、残された房に糖分などを集中させます。

8月になるとぶどうが色づきはじめます。

夏のバカンス後、収穫人の手配をしたり醸造体制を整えたりといった、収穫の準備に入ります。

 

9月~10月

収穫。

収穫後、死んだぶどう樹を引き抜きます。

紅葉~落葉。休眠へ。

 

11月~12月

「土寄せ」 (3月~4月の説明参照)。

「秋季剪定(しゅうきせんてい)」 または「予備剪定(よびせんてい)」・・・冬季剪定の準備段階として、今シーズン活躍してくれた枝を切り落とします。この時期にブルゴーニュを訪問すると、切り落とされた枝を畑で燃やす風景があちこちで見られます。

 

 

写真は、「ルイ・シュニュ」の6月の畑仕事の風景です。後ろにコルトンの丘が見えますね。

畑仕事のスタッフ数は季節によって変動し、畑での作業が1年で最も多くなる5月~7月(つまり今)は、フルタイム2名、パートタイム1名、そして常勤のキャロリーヌを合わせて、計4名で行っています。(うち3名が女性です!) 

ちなみに、このドメーヌの正式な chef de culture (シェフ・ド・キュルテュール、栽培責任者)は、今もルイ・シュニュさん(キャロリーヌのお父さん)が務めています。