今年の「ルイ・シュニュ」の収穫は、9月25日から1週間にわたって行われました。
私たちは収穫2日目の26日にドメーヌを訪問しました。
更新が随分遅くなりましたが(・・・)、収穫の模様をレポートします。
午後1時にドメーヌに到着すると、午前の収穫を終えた収穫人たちが、昼食前のアペリティフを楽しんでいるところでした。
キャロリーヌもジュリエットも、収穫人にワインを運んだりで大忙し。
おじさんは私たちをビデオ撮影してるし・・・。
その後、ドメーヌに隣接するキャロリーヌの自宅のダイニングに移動して、収穫人と一緒に昼食をご馳走になりました。
収穫人の確保は、生産者にとって大きな課題となっています。
不法労働者を雇うことが厳しく規制されるようになったことと、身元のしっかりした収穫人も、より良い待遇をしてくれる生産者に移っていくためです。
収穫作業の大変さはどこの生産者でもそれほど大差ありませんので、「待遇」というのはもっぱら「宿泊」と「食事」のことになります。(確かに食事が美味しければ、たいていのことは我慢できますよね。)
「ルイ・シュニュ」の場合は、同じサヴィニー・レ・ボーヌ村内に、収穫人の宿泊用のための家を一軒購入しています。
もちろん、1年のうち収穫の前後の1~2週間しか使わないのですが、かように、収穫人の確保は極めて難しくなっています。
(ちなみにこの家の話は私も初耳で、「今度からブルゴーニュに来る時は自由に泊まっていいよ」とのことでしたので、お言葉に甘えようと思います。)
「料理」の方は、ケータリングをとる生産者がほとんどです。一応プロの料理ですし、それなりに美味しく不満も言われにくいものです。
しかし「ルイ・シュニュ」では、キャロリーヌとお母さんの手料理が振舞われます。
料理の写真です。
まずはブルゴーニュの郷土料理、ジャンボン・ペルシエから。
このハムと、パンに、アリゴテを一杯飲むのが、ブルゴーニュの伝統的な朝食です。
そして、ピクルス。キャロリーヌが自分の庭で育てている自家製です。
(ありえないくらい美味しくて、思わず輸入できるかと聞いてしまいました。)
そしてメインディッシュの、うさぎの赤ワイン煮込み。
(気持ち悪いですか?料理の写真ってほんとに難しいと、はじめて分かりました。)
お味の方はこれまた絶品で、4つも食べてしまいました。
日本人の私たちのために、ご飯も用意してくれてました。私たちだけでなく、収穫人のみんなも「うまいうまい」と食べてました。
そして、チーズに・・
デザートのバナナ!午後からの収穫のエネルギー源に!
「私たちは、25人の収穫人を雇っています。収穫人の確保は毎年難しくなってますが、ウチではリピーターがとても多いのが自慢です。ほとんどの人は、ルクセンブルグに近いフランス北部から、バカンスを兼ねて来てくれます。あの人は大手銀行の支店長、あの人は原子力発電所の技術者なんですよ(笑)。
あと、彼らの息子さんとか、お友達といった知り合いも多いです。毎年同じ方々が来てくれますので、みんな収穫技術に長けたベテラン揃いなのが、なによりありがたいです。
ジュリエットと私がまだ小さかった頃から来てくれてる人もいて、毎年この時期に「おじさん」たちに会えるのを、とても幸せに思います。」
また、お姉さんのジュリエットの旦那さんでブルゴーニュのトップクルティエのひとり、ブノワ・ブリュオが私たちに同席してくれ、昼食を食べながら、ブルゴーニュの最新情勢をブリーフィングしてくれました。
ちなみにこの時、 「Juliette Chenu」 セレクションの新作、Clos-Saint-Denis 1999 の試飲もさせてもらいました。
(来年1月にご紹介します。少量ですが・・・)
極めて美味しかったです。
さて、昼食の後はいよいよ午後の収穫です。
なんだかおしゃれな送迎バスです。
5分ほどで畑に到着。サヴィニー・レ・ボーヌ プルミエ・クリュのレ・ラヴィエールです。
昼食後でやや倦怠感が漂う雰囲気。右から3番目のスキンヘッドの人が現場監督(?)なのか、「さあ仕事だ!畑に入った入った!」と場の空気を引き締めてました。
収穫開始!
もちろん彼女たちも収穫を行います。中腰で大変な作業なのに、ここは本当にみんな和気あいあいと楽しそうに仕事してたのがとても印象的でした。
ちなみに収穫人の時給は毎年「県」によって決められます。今年は、時給9ユーロだそうです。
(ふたりとも可愛いなぁ)・・・天・地・人ですから!
そしてこちらが、誰も覚えていないと思いますがお約束のショットです!
「キャロリーヌ、ちょっとそのマシンに乗ってみて。」
「これってヤラセでしょ。」
・・・この写真は確かにヤラセですが、いつもこんな感じでこの愛機を使いこなしています。
そして、このようなマシンに乗っている時に自然に出るこの笑顔こそが、私の知る限り、すべての(特に女性の)新世代の造り手に共通して見られる特徴で、ここに、自然体で仕事を楽しむ彼ら彼女たちの生き方がよく表れていると、私は思っています。
そんなこんなで収穫されたぶどうは、ドメーヌへと運ばれます。
ぶどうが届くやいなや、除梗機にかけ、ぶどうの実と茎を分離します。
茎を取り除かれたぶどうの実は、そのまま発酵タンクの中へ。
そして、発酵がはじまり、いよいよぶどうがワインに変わっていきます。